地震や台風などの自然災害に対応すべく、住宅の強度強化に対する意識が国レベルで高まって久しい昨今、より安全な注文住宅実現の要として、用いる木材の「質」が注目されています。しかし木材や建築に関する専門的な知識も乏しく、まして木材の目利きでもない施主とすれば、発注先の業者の説明が、信頼に値するか否かが鍵となります。
木材の強度面に関する情報やデータは、インターネット上でも数多く配信されていますが、すべてが信頼できる内容とは限りません。単純に品種や杢目の具合だけでは強度を決定できないのも、天然素材に共通して見られる「個体差」が大きく関係しています。信憑性に不安の残る情報に左右されず、まずは専門業者との質疑応答を通じ、自身の中で安心と納得を確かめる作業が大切です。
どれだけ個体として強度が約束された木材であったとしても、その強度を最大限活かす工法で建築されなければ、そのメリットを十分住宅に反映できません。多くのビルダーは自社独自の工法のメリットを謳い、新規顧客獲得に余念がありません。発注先候補となる業者に関しては、こうした建築ノウハウに絡め、使用する木材に関しても説明を求めてみましょう。
ここで誤解してはならないのが、注文住宅に用いるすべての木材が、強度最優先である必要はないという事実です。室内には杢目の美しさを最大限引き出した内装を、骨格となる部分には強度に優れた木材を用いることで、より理想的な注文住宅を実現するアプローチが重要です。優雅で快適な室内空間と、直接目には触れずとも、より安全性を約束してくれる頑丈な建物としての強度、これらが噛み合ってこそ、高品質な住宅と言えるのです。
設計事務所は住宅を設計するだけでなく、既存の住宅の瑕疵を見極めるプロです。施工者ではない設計士に同行検査をしてもらうことで、住宅購入を冷静に対処することができます。